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読んだ本 みんなが手話で話した島 

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みなさん、こんにちは!

今日は『みんなが手話で話した島』という本を紹介します

全ての人が手話を使う社会。
それは、どんな社会なのか、そもそもそれは可能な事なのか。

その答えのヒントが、この本にはありました。
島民のほぼ全てが手話を使う事が出来た島。
マーサズ・ヴィンヤード島。(ヴィニヤード島とも)
マサチューセッツ州に浮かぶこの島は、300年以上にわたり英語と手話が公用語として使われていました。
アメリカ文学『白鯨』の舞台となったナンタケット島の隣にある島で、捕鯨が盛んであった事も知られています。

ヴィンヤード島民が手話を使うようになったのは福祉的な考え方が強いというわけではなく、島民全体に対しての「ろう者」の割合がアメリカ全体の平均と比べてかなり多く、意思疎通をはかるため手話を使う事が必然となっていたからです。
この島に「ろう者」が多いのは、入植してきたグループの中に「ろう者」がおり外界との接触が少ない島の特性上、「ろう者」の血縁者が時を重ねて増えていったためでした。
交通の利便性が増し外界との行き来が増えた現在では「ろう者」はいないと本分中には書いてあります。

では、手話を覚えるために学校や教育機関が発達していたかと言うと、そういう事も無く身近に手話があったため皆自然に覚えていったそうです。

この本では、著者がいわゆる「みんなが手話で話していた」頃を知る人達の生の声を紹介していますが、
『みんなが手話を使っているので、誰が「ろう者」であったか記憶が曖昧だ』というぐらい「ろう者」が社会に溶け込んでいて、それが当たり前の事だったのです。

19世紀以前のアメリカでは、ろう者は障害者として差別され収入は少なく選挙権も許されていませんでしたがヴィンヤード島では、貧しい者はいたものの裕福な者もおり経済的な差別は無く、政治にも深く関わっていたようです。
これらの事からヴィンヤード島では聴覚障害のための差別や区別は、ほぼ無かった事がわかります。
島民の言葉をかりれば『聴覚障害は言葉がなまっていると同じぐらいのもの』で、いちいち気にする事ですらなかったのです。
ただ、他の障害者への差別などはあったようで道徳心やモラルが特別高いという事ではないようです。

著者は「ろう者」の社会生活や職業生活を制限しているのは、聞こえないという障害ではなく健聴者との言葉の壁なのだと語ります。
現代社会では法律上は差別や区別をしない事になっているかと思いますが、そうは言っても健聴者とまったく同じ仕事は出来ない。同じ学校では学べない、または難しいと言うのが現実でしょう。

当時のヴィンヤード島での暮らしは農業、漁業が中心で島内でほとんどが完結する社会であったため今の社会で同様の事が行われるのは難しいと思いますが、それでも今生活している中で全ての人が手話を使えたら、きっと制限は大きく取り払われると思います。

少し古い本ですので、なかなか手に入らないかも知れませんが興味のある方は読んでみてください。
わたしは色々探したあげく地元の図書館に置いてありました。



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